以前、テレビの特集を見て知り『なんて画期的なサービス!』と感激したminikuraという倉庫保管サービス。
- 段ボール1箱から預けられる
- 1点ずつ撮影してくれてネット上で管理できる
- 1点でも1箱でも取り出しOK
- 預けながらヤフオクに出品できる
- 預けながらクリーニングもOK
などなど至れり尽くせりのサービスなんです。
昭和25年創業の言わば老舗倉庫会社が、なぜこんな画期的なサービスを始めたの?
純粋にminikuraの運営会社について興味が湧いたので調べてみました。

というわけで、今日はminikuraでおなじみの寺田倉庫株式会社さんについて深堀していきます。
minikuraの運営会社を調べてみたら とんでもない会社だった件について
minikura誕生までの寺田倉庫ヒストリー
minikuraの運営会社『寺田倉庫株式会社』は冒頭でも書いた通り、創業はなんと昭和25年。
当時は食糧庁の指定倉庫として、政府備蓄米の保管事業をしていたとか。
そこから物流やトランクルーム事業を展開し、『トランクルームと言えば寺田倉庫』とまで言われるようになったそうです。
けれど2010年頃から不動産事業者らもトランクルーム事業に参入し始めます。
こんな感じのトランクルーム、最近よく見かけますよね?
順調に業績を伸ばしていたものの、優良物件や好条件の土地探しなどは不動産業者に勝てるはずもありません。
このままでは価格競争になってしまうと、一旦事業を見直すことにします。

そこで、創業家出身の寺田保信会長の友人、中野善壽(よしひさ)氏が2011年に突如社長に就任します。
で、中野社長が寺田倉庫をぶった切ってmikukuraを誕生させるのですが・・・
この中野社長が、とにかくぶっ飛んでる人なんです。
minikuraを生み出した中野社長が破天荒すぎる
会長は長男の寺田航平さんに会社を継がせるためにも、会社を立て直さなくては・・
と満を持して古くからの友人でもある中野さんにバトンを渡したわけですが。
この中野さんの経歴がとにかく破天荒すぎるのです。

こちらが中野善壽氏
日本経営合理化協会より画像お借りしています
千葉商科大学の商経学部を卒業後、伊勢丹の子会社に入社。
入社数年後、先輩と喧嘩して退職。
その後、日本初のファッション専門店の鈴屋に入社。
パリやニューヨークで新店舗の立ち上げを手掛け、バイヤーから取締役専務にまでのぼりつめる。
がしかし、『なんとなく居場所がないから』という理由であっさり退職。

退社翌日、空港で『たまたま』目に入ったシンガポール行きのチケットを購入していざ出発。
台北でトランジット待ちしている間に『ここでもいいや』となんとなく入国。
台北で降り立ち、そのまま台湾総統府に『ふらりと』訪問。

その名の通り、台湾の国家元首「総統」が執務する場所
そこで職員に『台湾はこうあるべき』と講釈したところ、なぜか研修機関の教授に大抜擢。
『なんとなく』『なりゆき』ではじめた講義だったわけですが、これだけでは終わりません。
毎回、台湾各地から企業のオーナーや社員が講義を聞きに来るわけです。
すると生徒のひとりであった台湾の財閥系、力覇集団のオーナーの長女(!)に懇願され百貨店の経営を任されます。
力覇のオーナーとバチバチバトルを繰り広げ、長女を泣かせながらも力覇百貨店をぶった切り再生に成功。
その後は、ほかの台湾の財閥、遠東集団の最高執行責任者を歴任します。

minikuraを誕生させた寺田倉庫の改革とは
さて、こんな破天荒な中野社長が寺田倉庫再建のために何をしたかというと・・
メイン事業のほとんどから撤退
特色のない土地や建物はすべて売り払う
700億円の売り上げを100億円まで減らす
2年間で従業員を1/14以下にまで減らす
つまりは寺田倉庫の規模をぎゅっと小さくしたわけです。
こちらは中野社長の著書。
タイトルを見ればなんとなくわかるかもしれませんね。
実は、中野社長はめちゃくちゃミニマム思考の持ち主としても有名。
社会人になってから車も家も持ったことナシ!
高級時計も高級ブランドも興味なし!
スマホも3日で解約!
倉田倉庫の社長当時、週の2日は倉田倉庫が用意した部屋で寝泊まりし、他は家賃1万2千円の台湾の貸家で過ごしていたとか。

しまいには自分の実績にも興味なし!
過去を振り返ることが好きじゃないからとメディアにも極力でないようにしているとか。
社員に「中野社長は実在する人物なのかわからない」と言わせるほどのミステリアスっぷりです。
そんな中野社長に興味がある人はこちらの本もどうぞ。
とにかく、寺田倉庫をぶち壊してとことんミニマムにした結果・・・
会社が生み出すキャッシュは8倍に激増!!

ところが中野社長、寺田倉庫を再生するだけでは満足しません。
寺田倉庫がある天王洲のエリア全体を、運河沿いのガランとした倉庫街から芸術と文化の街へと変えてしまいます。

フォトジェニックな街に生まれ変わった天王洲アイル
このブログをご覧の皆さんだったら、人気インテリアショップの『アクタス』が好きな方もいらっしゃるのでは?
そのアクタスが手掛ける『スーホルム(SØHOLM)』というおしゃれなレストランも寺田倉庫が企画設計から運営までプロデュースしています。
こうして、会社の規模を小さくしながらも着実に収益構造の安定を図っていきます。
その最たる事業の一つとしてminikuraが誕生するのです。
minikura誕生のきっかけとなったIT化は現社長の影響?
2019年に中野社長が退任し、現在の社長は寺田保信会長の長男である寺田航平氏です。

こちらが寺田航平社長
ビットアイル寺田社長ブログより画像お借りしています
慶応義塾大学の法学部を卒業後、三菱商事に入社。
当時は『家業は絶対に継がない』と父親に反発していたそうです。
しかし6年後、父親の『戻ってこないか?』という一言を機に寺田倉庫に入社。
企画部門の平社員を2か月ほど経て、取締役に就任。
翌年には寺田倉庫の子会社、株式会社ビットアイルを創業します。
株式会社ビットアイル・エクイニクス
元々は寺田倉庫の子会社として設立された。寺田倉庫が元々保有していた天王洲周辺の倉庫群をデータセンターに転用することで遊休地の有効活用を狙ったのが当初の設立目的だが、経営規模拡大に伴い、天王洲以外にも複数のデータセンターを保有するようになった。
13年後、ビットアイルは東証一部上場を果たし、最終的には世界最大手エクイニクスからTOBがかかり売却。
その他にも複数の会社の取締役を経て、2019年に寺田倉庫の社長に就任しました。

ちなみに、寺田社長のお母さまは『国境なきこどもたち』の会長、寺田朗子(さえこ)氏。
お母さまのIQが167あるため、母子の口げんかで勝ったことがないとか。
寺田倉庫の物流ノウハウにITを掛け合わせることによって、minikuraをはじめとする新たな事業が生まれることになります。
企業の商品から個人の財産へ 視点を変えてminikuraが誕生した
現在の寺田倉庫執行役員の中には、minikuraの立ち上げにかかわった方もいらっしゃいます。
現在はCEO付きミライ創造室室長という肩書の月森正憲氏です。

こちらが月森正憲氏
business square leaders wisdomより画像お借りしています
なんと月森さんは1998年に新卒で入社し、以来ずっと寺田倉庫で働いている珍しいお方。
中野社長の大規模リストラを生き残り、『5年で辞めろ』という中野社長の公言を突っぱね、年間30%という寺田倉庫の高い離職率にも無関係な方なのです。
しかも、入社から7年間は倉庫内でフォークリフトを乗り回しながらオペレーションに従事していた叩き上げ。
当時の倉庫業が預かるものと言えば企業の『商品』が当たり前でした。
minikuraのように個人の『財産』を預かるというのは、寺田倉庫にとってはとてつもないチャレンジだったそうです。
百貨店再生でB to Cを得意としていた中野社長は、月森さんの斬新な発想を面白いと評価してくれたとか。
倉庫業界のタブーを破ったminikura
minikuraは『物を預かる業界』にとって画期的かつタブーなサービスだと言えます。
なぜなら、倉庫業にとって個人から預かった荷物の封を開けるというのはご法度だったからです。


預けたものは1点ずつ撮影してくれネット上で管理できる
しかし箱を開けたことによって、その次にどんなサービスが必要とされるのかがわかったんだとか。
取り出すときにクリーニングができたら便利かも
不要になったものをオークションに出品できたらおもしろいかも
預かったものを旅先に送れたら助かるかも
業界のタブーを破り、箱の中身を特定することによって新たなビジネスチャンスが生まれるなんて面白いですよね。
とりあえず『今』必要のないものを箱に詰めてminikuraに預けたら・・・
第三者的な視点で不要なものを見る事ができるかもしれません。
実はこれって断捨離したいけどできない!って人にとって、とってもいい方法なんですよ。
『捨てる』のではなく『距離を置く』
本当に自分にとって必要かそうでないのかがわかるかもしれません。
〇〇だけを預かる!マニアックに特化したminikuraの進化
寺田倉庫の『やばい』ところは経営陣の面白さだけではありません。
minikuraのプラットフォームに、まったく別ジャンルの企業を掛け合わせて攻めているところが格好いい!
『〇〇なものだけ預かる』
それはいわばminikuraの進化版。
例えば、バンダイが運営しているコレクター向けフィギュア保管サービスの『魂ガレージ』
サービスの内容自体はminikuraとほぼ同じですが、ターゲットがフィギュアコレクター限定!
コアなコレクターはフィギュアのみならずパッケージの箱も大切。
箱に入った完璧な状態のフィギュアを自宅で大量に保管するとなると、広いスペースと家族の寛容な心が必要ですよね。
細やかな温度や湿度管理が必要な高級絵画やワインも扱う老舗倉庫会社が保管してくれるんですから、これ以上の保管場所はないはず。
そのほかにも・・・
アウトドア用品専門の保管サービス『hinata trunk!』(サービス終了)
防災グッズや思い出の品などを保管する『防災ゆうストレージ』(日本郵便)
これらのサービスにも実は寺田倉庫が関わっているんですよ。
ただそこにとどまる『商品』から『価値』へと変えたminikura
ワインや絵画など、適切な環境で保管すれば時間の経過とともに価値が上がるものを預かるのも寺田倉庫の得意とするところ。

『今、必要ないもの』が、預けているうちに『価値』になるというわけです。
例えばヤフーオークションとの連携もしかり。
この夢のコラボはヤフーからのアプローチから始まったとのこと。
オークションでは、商品の内容や状態など大切なポイントがいくつかありますよね。
その中でも『商品が本当に存在する』という信用が、実は出品にあたって一番重要なことなのだそう。

その点、minikuraで預けている商品となれば確実に現物確保できている、という証明になります。
もちろん利用者にとってもメリットは大きいです。
minikuraが商品を撮影してくれる
minikuraの管理データを引き継げるから商品説明が簡単
minikuraの管理画面上の出品ボタンを押すだけで出品完了
minikuraの倉庫から発送してくれる
発送元がminikuraの倉庫だから住所を隠すことができる
オークションって落札までのあれこれが面倒だから、これなら気軽に出品してみようかなって気持ちになりますよね。

minikuraに預けているうちに、必要ないものから『誰かの大切なもの』に変わるなんて素敵です。
倉庫へ預けることのデメリットもminikuraなら解消してくれる
自宅以外の場所に預けることの最大のデメリットは忘れてしまう事
コンテナ倉庫業で懸念される消費者にとっての最大のデメリットなんだかわかりますか?
寺田倉庫が独自に行ったアンケートによると『何を預けたか忘れてしまう』ってことなんですって。
お金を払って預けているのに、そんなことってあるのかしら・・・
と思ってしまうのですが、そもそも『今、必要のないもの』を預けているのだからあり得ない話でもないのかも。
荷物を預けたいと思っているのにコスト、利便性、セキュリティがネック

自宅の荷物を自宅以外の場所に保管したいと思ったことはどの程度ありますか。
PRTIMESより
こちらはLIFULL SPACEという会社が都市部(関東1都3県、愛知県、関西2府1県)在住の方に『自宅収納スペース以外に預けるサービスの利用意向』に関するアンケート調査の結果です。
自宅の荷物を自宅以外の場所に保管したいと思ったことはどの程度ありますか?
という質問に対して半数近くのひとが『ある』と回答しています。
収納スペースが狭い
家族に内緒の荷物がある
捨てるに捨てられないものがある
などなど理由は様々ありそうですが、思ったよりも多くの人が保管サービスに興味を持っているようです。
事実、自宅の荷物を自宅以外の場所に預けられるサービスをご存知ですか?または利用したことがありますか?
という質問に対して、なんと73%の方が知っているが利用したことはないと回答しています。
では多くの人が自宅の収納だけでは足りないと感じているのに、なぜ荷物保管サービスを利用したがらないのでしょうか?

料金がネックになっている人が半数以上!
PRTIMESより
思ったより高かった
近くに設備自体がなかった
セキュリティーに不安があった
管理環境に不安があった
預け方がわからなかった
空室がなかった

minikuraならこれらのすべてが解消されること、ここまで読んでくださった方ならおわかりのはず。
思ったより高かった→1箱275円~
近くに設備自体がなかった→全国どこからでもOK
管理環境に不安があった→高級品も扱う老舗倉庫会社
預け方がわからなかった→ダンボールを送るだけ
空室がなかった→いつでもOK
minikura運営会社について調べたらサイコーな会社だった件について【まとめ】
わたくし、完全にファンです。
寺田倉庫さんの。
正直、ここまで何日も費やして寺田倉庫のことをリサーチしてきました。
ほんの出来心からです。
それがもう、完全にファンになってしまいました。
minikuraはお手軽で、安くて、便利な、ただ荷物を預けられるサービスだと思っていました。
けれど調べてみると、寺田倉庫の熱意と愛情がとまらない!!
そして、荷物を預けることへの安心感が半端ない!!
それがminikuraの魅力でした。
『今、必要のないもの』だとしても『捨てられないもの』ってありますよね。
思い出だったり、こだわりだったり、罪悪感だったり・・・
なにか特別な感情があるから、エイっと捨てることができないんですもの。
そんな大切なものを、寺田倉庫のプロたちが預かってくれるのなら、こんなに心強いことはありません。
わたくし、
整理収納に興味がありすぎて、自宅の収納計画を完璧に完遂してしまったことを猛烈に悔やんでおります。
minikuraになにか預けるものはないかしら・・・
本気で家中を探し回っている今日この頃です。