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中古住宅を買おう 競売・任意売却

任意売却はイレギュラーなことばかり!おひょいさん、ついに堂々寝返るの巻

任意売却はイレギュラーなことばかり!おひょいさん、ついに堂々寝返るの巻

第3弾の記事になります。

まだご覧になってない方はこちらの記事からどうぞ。

この記事では、我が家の実際の取引例と、買取業者に勤めていた私の経験をもとに、任意売却の具体的な進め方を書いています。

  • 任意売却と一般売却の違いって何?
  • 任意売却だとどんなことに注意する必要があるの?
  • 任意売却でより有利に交渉するポイントは?
こんな疑問にお答えします。

※記事中に出てくる取引金額、販売価格は、実際の金額とは異なります。
 わかりやすくするために2000万円スタートとしています。

 

任意売却は一般的な不動産取引とは全く別物

任意売却は一般的な不動産取引とは全く別物

任意売却の場合、売買代金を決めるには債権者と仲介業者と買主の3者の交渉の上に成り立つということを前回の記事で書きました。

これが一般的な売買と一番違う点ですね。

簡単な図式で書くとこんな感じ。

 

任意売却と一般売却では売買代金を決める決定者が違う

一般的な不動産売買の場合

一般的な不動産売買の場合

一般的な不動産売買の場合は、地域相場や住宅の価値以外にも売主の希望売却価格が売り出し価格に加味されます。

例えば、

  • ローンの残債
  • 買い替えの資金計画
  • 単純にいくらほしいか

そんなことを仲介さんと相談しながら決めます。

その金額で売れるか売れないかは別問題ですが、売主が希望する価格で売っていいわけです。

もちろん、売主が納得すれば、売れないから値段を下げるということもできます。

つまり、仲介業者がいる場合でもいない場合でも、売り出し金額を決める決定者は売主自身にあります。

任意売却の場合

任意売却の場合

一方、とにかく期限内に売却して少しでも多くの債権を回収することを目的としている任意売却の場合は、売主(債務者)の希望は加味されません。

もちろん、住宅の価値がまるで評価されないというわけではありませんが、それよりも債権者側の事情が売り出し価格に強く影響されます。

また、もしも購入希望者が現れた場合は、売主と購入希望者間のやり取りではなく、債権者と購入希望者との交渉になります。

つまり、任意売却の場合は売り出し金額の決定権は債権者らにあります。

 

任意売却は売り出し金額よりも債務金額のほうが多い

任意売却は売り出し金額よりも債務金額のほうが多い

それらを踏まえたうえで一般的な不動産売買と決定的に違うところは、売り出し価格(販売価格)がローン残債(債務額)よりも低い、ということです。

債務額に関しては住宅ローン以外の借金や税金の未納なども当てはまります。

複数の債権者によって抵当権が付けられていたり、差し押さえられている場合もあります。

家の売り出し価格以上の借金を抱えている人が住宅を売りに出している、というイメージです。

もちろんそういう場合であっても、足りない債務額を賄える現金を売主が持っている場合は、任意売却にはなりません。

 

任意売却は白紙解約になる事がある

任意売却は白紙解約になる事がある

これも任意売却ならではかもしれません。

任意売却の場合、買主が購入希望額を伝えることによって始まる取引が多いですが、状況によってはすべてがひっくり返ることがあります。

例えば、最後まで金額の交渉を続けたけれど結局金額が折り合わず、そのまま競売になってしまったなど。

購入希望者は銀行とのやりとりなども同時に進めなくてはいけませんが、債権者がやっぱりその値段では売れません、となる事があるのです。

停止条件付の売買契約といいます。

その代わり、競売にはないローン特約を付けることによって、購入希望者を守ることができます。

(※)ローン特約

もしも住宅ローンの審査に通らなかったら、売買契約を白紙にしてもいいよ、という特約。

一般的な不動産売買の時にはほとんどの場合適用されます。

契約書にも明記されているはず。

 

任意売却は瑕疵担保責任がつかない

任意売却は競売と同様、瑕疵担保責任(※)がつきません。

(※)瑕疵担保責任

普通に暮らしていて生活に支障があるような『重大な住宅の欠陥』を住宅の瑕疵(かし)といいます。

例えば、雨漏りやシロアリの被害、地中に何か埋まっている場合なんかもそうです。

これらを事前に売主が把握していて告知し、買主が納得していれば問題ありません。

問題は『売主自身も知らなかった、予測できなかった』瑕疵、いわゆる『隠れた瑕疵』が契約後に見つかった場合です。

その場合は、修繕するなり契約解除するなりして売主がちゃんと責任取りなさいよ、と法律で定められています。

そこが、一般の不動産取引のように、住宅の評価をしない、という理由にもなります。

通常の取引ならば、雨漏りをしている物件なんて大問題です。

売り出し金額的にも直結しますよね。

ところが任意売却の場合はそれを告知しようが、また、売り主が知らなかったり隠していたとしても関係ありません。

雨漏りをしているからという理由で、売り出し金額を安くすることはありません。

また、設備が壊れてる、壁に穴があったり床が抜けたりしている場合にもそのままの状態で引き渡しとなります。

買取業者で営業をしているときには、かなりひどい状態の家がたくさんありました。

高校生の娘さんの部屋中いっぱいに、両親が自己破産したという辛い心情がマジックで書き殴られているのを見た時は心がえぐられる思いでした。。

競売の場合は、基本的には当該物件の中の様子は裁判所の資料でしか判断できません。

落札してみたらとんでもない有様だった、なんてことはザラにあります。

その点、契約前に現況の確認ができ、明け渡し後の処分料やリフォーム代の見積を出せるのは任意売却の利点でもあります。

 

任意売却の売主が経済的に困窮している故に注意が必要

このように、売り出し金額に関して家の所有者である売主が口を出すことはできません。

では、債務者である売主は全く蚊帳の外なのか、というと意外にそうではなかったりします。

任意売却の致命的な問題として、売主が金銭的に困っているということが挙げられます。

主に明け渡しに関するお金の相談など、仲介業者が間に入り交渉することになる場合が多いです。

 

任意売却の引っ越し代の相場は20万円

売主と買主の関係

めでたく決済が終わったとしても、売主にお金がなくて引っ越しできなければ元も子もありません。

そのため、売買金額に売主の『引越し代』が含まれる場合がほとんどです。

債権者に返済する金額のほかに、引越し代として○○万円払うので、四の五の言わずに速やかに引き渡してくださいというような意味合いです。

その際の相場は20万円くらい。

すんなり明け渡してくれるような相手なら10万円。

お金がないと少しごねるようなら30万円と、ここも交渉次第となります。

また、任意売却の場合は売主にお金がないという事情から、引っ越し代金としてお金を渡してしまうとそのまま逃げられてしまう、という懸念があります。

というわけで、仲介業者が一緒に引っ越し先のアパートを探し、引っ越し代やスケジュールの管理をするなどフォローが必要です。

 

任意売却は現状有姿が基本

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現状有姿とは、そのままの状態にしておく、ということです。

不動産売買における現状有姿とは、買主売主、両者の納得の上でそのままの状態で売買する、ということになります。

例えば、不動産売買に置いてとても重要とされる境界。

隣の家との間にこのような標を見たことがある人もいると思います。

これは隣地との『境界』を明確に示したもので、この標を見ればブロック塀は誰の所有物か、など隣地との微妙な境目も一目瞭然になります。

この境界標を取り付けるまでには決められた手順があります。

  1. 土地家屋調査士によって、現状を調査し測量をする
  2. 土地家屋調査士がそれをもとに現況測量図面を作る
  3. 隣接する者同士が立会いのもと確認し、合意を得たら境界確定
  4. 『境界確定書』に両者が署名押印
  5. 境界標を設置する
お互いが納得しないと境界標は入れられないわけです。

さらに、境界確定書を添付した図面を『確定測量図』と言い、ここまで測定を終えていることを『確定測量済み』といいます。

不動産取引では、確定測量がされていることが購入の条件になるケースがほとんどです。

けれど、任意売却の場合は現状有姿が基本ですから、境界が確定していない場合でもそのまま取引されます。

境界を確定させる時間がないわけですね。

 

任意売却の手付金は仲介業者が預かる

任意売却の手付金は仲介業者が預かる

任意売却とて、債権者にこちらが物件を本当に購入する意思がありますよ、と手付金を払って意思表示をする必要があります。

手付金といっても、売買代金の一部ですから、もちろん手付金は債権者に回収されます。

とはいえ、売主、買主間の契約の手付金ですから、売主に支払うわけです。

  • 経済的に困窮していて精神的に参っている
  • 債務者が複数いて、パニック状態
  • 借入先によっては、任意売却後も債務が残る

このような状況から、売主が手付金をもって夜逃げしてしまう事も考えられます。

というわけで、任意売却の場合は手付金は仲介業者が預かり、売主には渡しません。

決済の時に、残金とともに債権者に回収されます。

白紙解約に備えて、仲介業者が預かる、という意味合いもあります。

 

任意売却では仲介業者の言うことを信じるな!

任意売却では仲介業者の言うことを信じるな!

今回の場合、仲介業者であるSハウジングは、購入希望者である我々よりも先に、売主である隣人Aさんへコンタクトをとっていました。

売主、買主ともにSハウジングによる仲介という状態です。

不動産業界では、売主買主の両者から仲介料をもらえる、という意味で『両手』といいます

本来は、仲介業者は依頼主の利益を最優先に考えるべきですが、今回のように『両手』となると相手の意向も十分に考慮しなければなりません。

ちなみに、任意売却の『相手』というと、債権者のことになりますね。

売主、買主にそれぞれ仲介業者がいる場合は『片手』といい、両者の仲介業者が連絡を取り合って交渉します。

ただ、任意売却の場合は両手の状態のほうがうまく話がまとまると感じています。

 

まずはAさんの懐具合を探ってみる

ここで詳しくは書けませんが、この時点でわかっているAさんの現状を書いてみます。

  • 税金の滞納があったため市の差し押さえが入っている
  • 競売申し立ての後、住宅ローンを滞納していたため保証会社Kの差し押さえが入っている

今回は市の差し押さえがあるため、役所とも金額の交渉をしなければいけません。

Aさんがいくらローンを組んで隣の家を買ったのかは、Aさんの自宅の謄本を見ればわかります。

抵当権を付けている保証会社がどこかもわかります。

そこから計算して、現状どのくらいローンが残っているか大体の金額をつかむことができます。

税金の滞納額に関しては、おひょいさんが大体このくらい、とコッソリ耳打ちしてくれました。

Sハウジングは売主の仲介業者でもあるわけですから、本来売主に不利になる事は話せません。

 

Aさんの借金額から購入希望額を考える

前にも書いたように、Aさんの家はもともとの所有者から買取業者が買い取ったのち、再販されたものです。

買取業者が簡単なリフォームをして付加価値を付けたことにより、近隣の中古相場よりもかなり高い値段でAさんは買っています。

謄本を見る限り、オーバーローンで目一杯借入れした様子。

どんなに相場に即した買取希望額を出したところで、住宅ローンの残債すべてをチャラにできるほどの売買代金になるはずはありません。

また、どの抵当権よりも税金の未納分が最優先されます。

つまり、売買代金から税金の未納分をまず支払い、残りの金額が債権者の手に渡るわけです。

こうして、すべての登場人物の具体的な提示金額を想像しながら買取希望額を決めていきます。

 

おひょいさんと我が家の攻防戦が始まった

おひょいさんによると、つい最近、K保証会社と取引をしたとのこと。

任意売却自体には前向きになってくれるものの、金額についてはかなり強気で、ぜんぜん値下げに応じてくれない保証会社だったと言います。

おひょいさんはさりげなく、そして他人の噂話でもするかのような雰囲気を醸し出していますが、ここからすでに我が家との交渉は始まっています。

おひょいさんは私たちが口を開く前に、お宅の言い値ではそうそう決まりませんよと伏線をはっているわけです。

保証会社Kが引くか、うちが引くか。

この勝負の全体を把握しているのは、おひょいさん(と、その息子氏)だけなのです。

 

親切だったおひょいさん。本当は保証会社の味方

電話をすればすぐにでも東京のど真ん中から駆けつけてきてくれたおひょいさん(と息子氏)。

子供たちのためにも、隣のAさんの家が買えたらとっても幸せですねと言ってくれたおひょいさん(と息子氏)。

我が家に来た後に、ブロック塀1枚隔てた何も知らないAさんのところへひょうひょうと訪ねていくおひょいさん(と息子氏)。

いつも低姿勢でジェントルマンなおひょいさん。(ここは息子氏省く)

だけど、おひょいさんの立場からしたら、我が家よりも保証会社Kの味方でいるほうがメリットが大きいわけです。

おひょいさんが言うことは表面的なことでしかなく、もっともっと話の裏側、真髄を探らなければいけません。

 

『保証会社は2000万円以下にはできないと言っています』とおひょいさんが言う意味は?

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「保証会社は2000万円以下にはできないといっています」

と言ってきたら、それはそれはおひょいさんが考えるの交渉のスタート金額です。

保証会社、我が家の両者がとりあえず納得できるであろう『たたき台』の金額が2000万円だ、ということになります。

保証会社は大きな組織ですから、任意売却の売買金額を決めるといっても交渉担当者の一存で、というわけにはならないでしょう。

ですから、保証会社Kか我が家か『どっちに妥協させるほうが楽か』というと、個人である我が家ということになります。

たたき台の数字とはいえ、保証会社贔屓の金額になっていると思われます。

つまり、2000万円は保証会社Kのギリギリラインの数字よりも余裕を持たせてあり、まだ交渉の余地があるということです。

 

安ければ買ってあげてもいいですよ、うちは。

うちとしてはあくまでも、安ければ買ってもいいですよ、という姿勢を貫きます。

本当はすごくほしいんですよ。

待ちに待ったセカンドチャンスですし!

いやいや2000万円なんて無理ですよ。このくらいだったら、ねぇ。頑張れそうだけど。

という、こちらのたたき台を伝えます。

そもそも競売の買受可能価額(入札可能な最低金額)を知っているわけですから、少しでもその金額に近づけたいですもの。

買受可能価額はこの時提示された金額より500万円ほど安かったと記憶しています。

あちらの金額からはかなり離れた金額を提示しました。

そこから、押したり引いたりの交渉です。

 

状況的には我が家が優位なはず・・・

保証会社としては、競売になったところで税金の徴収でほとんどとられてしまうし、そもそも入札してもらえるかもわかりません。

1円でも多く回収することが目的なわけですから、任意売却で片付けてしまいたいはずです。

もちろん、あちらも物件にどのくらいの需要が見込めそうかはリサーチしていると思います。

間口が狭く、軽自動車でなければ簡単に駐車できないような地形のAさん宅が、この地域ではほとんど価値が見込めないこともわかっているでしょう。

住民の多くがひとり1台の車生活を送っているような地域です。

隣地である我が家が買う意思があると申し出たのは、ラッキー案件のはずなのです。

 

名優おひょいさんに騙されるな!

おひょいさんは

保証会社の担当者には金額を伝えているんです。

だけどあまりにも安すぎて、あと○○万円くらい乗っけてくれないと稟議書出せないなんて泣きつかれちゃって。

とか、こちらが少し譲歩したとしても

なかなか上司のOKが出ないみたいで。

あと○○万円くらい高ければ即答もらえるみたいなんですけど。

なんて具体的な金額をあげて交渉を続けてきます。

やり手のおひょいさんのことですから、担当者と直接やり取りしていて、どのくらいが限界の金額かというのはだいたいわかっているはずです。

あとはそれよりいくら引き上げられるか、そこがおひょいさんのの腕の見せ所なわけです。

 

こうして高度な交渉術を繰り広げながら、ようやく着地点を見つけた我が家と保証会社K。

けれど、本取引最大の爆弾要素、占有者Mとの交渉が待っている。

ここでもおひょいさん、華麗に立ち回ります。

あとはMを追い出し、Aさんの明け渡しを約束させたうえで一気に取引終了のはず・・。

次回、とうとう我が家が勝負に出ます。

to be continued・・

つづきはこちらからどうぞ

任意売却の明け渡しには根気が必要【なぜなら売主は無気力だから】

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