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未登記建物が庭にある!売買できる?!実際のエピソードを元に超簡単に解説

こちらの記事は任意売却についての記事になっています。

もちろん、通常の取引の場合でも未登記の売買に関しては同じ結論の内容になります。

もしも任意売却についても理解したいという方がいらっしゃいましたら、下の記事をご覧になってからこちらの記事を読んでくださいね。

前回までのあらすじ

築20年越えの古家付き物件の購入を検討している我が家。

内覧へ行ってますます物件を気に入ったけれど、謄本をよくチェックしてみると問題発覚。

  • 差し押さえが入っている任意売却物件
  • 接道私道の持ち分がない!

これは大変と交渉の末、私道の持ち分を譲渡してもらうことに成功。

さていよいよ取引は大詰めか、というところで新たな問題勃発。

ここまでが前回までのあらすじです。

タイトルの通り、庭の建物が未登記だということが発覚します。

さて、この取引は無事に契約することができるのか。

  • 未登記ってどういうこと?
  • 未登記の建物って何が問題なの?
  • 未登記の建物がある物件の売買ってできるの?
こんな疑問にお答えします。

 

未登記の建物が庭にあるって!?売買ってできるの?

未登記の建物が庭にあるって!?売買ってできるの?

ここまで、権利関係のイレギュラー要素続出の案件ですが、無事私道も確保できたし、いよいよ契約できるか?!と言いたいところ。

なにしろ、モタモタしていたら入札が始まっちゃいますから!

けれど実はまだ、問題アリなのです。

このブログをじっくり読んでくださっている方はもうお気づきかもしれませんね。

なんども登場しています。

築20云年の家本体よりも立派な鉄骨2階建ての大きすぎる倉庫。

これが最後にやらかしてくれています。

赤線のところに2階建ての鉄骨倉庫が鎮座しておりました。

この倉庫、大きすぎて家の日当たりを悪くし、家じゅうをカビっぽくさせていただけじゃありません。

実は未登記だったんです。

登記とは?

不動産において登記とは、建物や土地の所在地に加えて

  • 大きさ
  • 種類
  • 用途
  • 所有者
  • 権利関係
  • 構造(建物)

これらを、法務局の登記所で管理している帳簿のようなものに載せてもらうことを言います。

権利関係についてはこちらの記事でも触れています。

このように、物件の細かい情報と共に『誰が当該物件を自由に売却する権利を持っているか』を登記所で記録しているわけです。

登記の内容を示したものが登記事項証明書と登記簿謄本

記録している内容を印刷したものが登記事項証明書、複写したものが登記簿謄本になります。

土地の登記事項証明書

引用:法務局HPより

こちらが土地の登記事項証明書の見本です。

『表題部』
土地の大きさや用途など概要について。

『権利部(甲区)』
この物件が誰の持ち主かについて

『権利部(乙区)』
抵当権などの設定状況

内容は登記簿謄本も登記事項証明書も同じです。

住宅の場合は土地と建物セットで謄本を確認する

上に載せた登記事項証明書は土地の登記内容です。

一方こちらは建物の登記事項証明書の見本になります。

建物の登記事項証明書

引用:法務局HPより

このように、土地に建物が建っている場合、土地の登記とは別に建物自体の登記もされています。

所在地を見れば、この土地にこの建物が建ってますよーと土地、建物の謄本がセットで一目瞭然なわけです。

建物の登記事項も『表題部』『権利部甲区』『権利部乙区』の3つに分かれています。

共同担保目録(共担)は、この物件と一緒に担保にされているもののリストです。

例えば接道の私道持ち分や、一つの宅地が筆分かれしているときなど、共担に書かれています。

権利部の登記は義務ではない

実は土地や建物を取得した場合に権利部の登記をする義務はありません。

最近は所有者不明の空き家問題などがニュースで取り上げられていて、ご存じの方もいるかもしれませんね。

このことから2020年現在、相続による登記を義務化するという流れになりつつあります。

表題の登記は義務

権利部に関しては登記の義務がありませんが、表題部に関しては新しく土地や建物を取得した場合、登記しなければいけません。

『表題部』に物件の概要を登記することを『表題登記』といいます。

この表題登記に関しては、登記の申請が義務付けられているのです。

不動産登記法47条(建物の表題登記の申請)

不動産登記法 第164条(過料)

例えば新築の場合、完成後1か月以内に登記の申請をしなくては10万円以内の過料を請求されることがあります。(区分所有は除く)

固定資産税にもかかわる重要なことなので、お国は表題登記には厳しめです。

では、建物を新しくゲットしたならば、どんな建物でも登記しなくてはいけないのか

実はこの答えはNOなんです。

表題登記の条件

建物の表題登記には3つの条件があります。

建物の表題登記義務の条件

  • 外気分断性
  • 用途性
  • 定着性

これらの3つの条件を満たしている建物は表題登記をする義務があります。

この3つを満たしていると、「建物」と公的に認められるということになります。

この3つの条件、言葉が少し難しいですけど簡単に説明すると

「外気分断性」
屋根と壁がある建物(天井高1.5m以上)

「用途性」
建物を建てた目的を果たせるものかどうか。

「定着性」
移動できるような建物はダメ。

解釈としてはこの3つのほかにも色々ありますが、ザックリ簡単に説明するとこんな感じです。

つまり、

壁と屋根に囲まれた超丈夫な鉄骨2階建てで

収納力抜群、倉庫としてのスペック最高で

ボルトでガッツリ地面に固定されて、絶対飛んで行ったりしない

この倉庫は、『登記しなくちゃいけない建物』ということになります。

 

未登記物件が庭にあったってそのまま売買はできる【だけど止めとけ】

未登記物件が庭にあったって売買はできる【だけど止めとけ】

結論を言ってしまいます。

未登記物件のままでも売買はできます。

実際、未登記の売り物件はたくさんありますし、値段もとっても安いです。

そのかわり、未登記物件を買うということはとんでもなくデメリットが大きいです。

未登記物件のデメリット

  • 所有権を主張できない
  • 場合によっては法律違反(表題部未登記)
  • 悪意の第三者に対抗できない
  • 住宅ローンが使えない
ちょっと難しいですね。

順番にやさしく解説します。

所有権を主張できない

登記をしないということは『私が所有者ですよ』という事を主張できないということになります。

つまりこういうこと。

Aさんがきちんと登記をしていれば、Aさんが物件の所有者であることを登記事項証明書が証明してくれます。

こうすれば、Aさんは自由にこの物件を誰かに売却することができます。

次はAさんが所有者にもかかわらず登記をしなかった場合。

Aさんが所有者にもかかわらず登記をしなかった場合

Aさんが物件を売りに出そうとしたら、第三者のBさんがやってきて

「私こそがこの物件の所有者です」と主張したとしたらどうでしょう。

登記をされていないので、Aさんは自分が真の所有者だと主張する術がありません。

真の所有者がAさんかBさんかわからないような物件なんて、怖くて買えないですよね。

未登記ということは、売ることも難しくなります。

未登記物件は悪意の第三者に対抗できない

未登記物件は悪意の第三者に対抗できない

さらにもっと厄介なことがあります。

そもそもこの倉庫、倉庫としてのスペックは完璧なわけです。

広さも十分あります。

未登記なので正確に測っているわけではありませんが、50坪の土地のうち4分の1弱を占めてるのです。

さて、我が家がこの物件を倉庫が未登記のまま購入したとします。

我が家の土地の一部に、『誰のものでもない10坪程度の建物』があるわけです。

誰のものでもないということは、当然我が家のものでもないということです。

いくら土地、建物ともに主人や私の名前で登記されていたとしても、です。

そこへ、悪意を持っている第三者がやってきて

「この倉庫、私が建てたんですよ。」

と倉庫に住み着いてしまったらどうでしょう?

「いやいや、うちの庭に建ってるんだからうちの倉庫でしょ!出てってよ!」

と言いたいところですよね。

だけどこの倉庫、『誰のものでもない倉庫』なのでそう簡単に話はまとまりません。

不動産業界でいうところの『紛争』へ発展しかねません。

まあ、上に書いたような状況は今のご時世なかなか無いとは思います。

住宅ローンが使えない

けれど銀行ではこれらのことを、可能性の一つとして判断します。

つまり

  • 融資をする物件として価値があるのか
  • 回収時のリスクがあるかどうか

という点において、かなりのマイナスポイントとなってしまいます。

実際、この時も銀行の融資条件として『未登記の倉庫を登記すること』ということが加えられました。

未登記物件は、登記さえきちんとすれば融資対象として判断してくれます。

銀行はどうして庭の未登記倉庫に気が付いたのか

さて、銀行は融資の条件として倉庫の登記を出してきたわけですけれど。

そもそもどうして謄本にも載っていない倉庫の存在に気が付いたのでしょう。

答えは単純ですね。

銀行が現地調査に来たからです。

以前の記事に、地続きの土地を買った時のことを書きました。

この時は銀行数社に打診しました。

こちらが知らない間に見にきていたらしく『商用目的が疑われる』という理由でNGだった銀行がありました。

つまり、うちとしては純粋に庭を広げるために購入したいので、金利が安い住宅ローンを使いたい。

けれど、銀行サイドは

  • 月極の駐車場にして近所の人に貸し出す
  • 事務所を建ててここで仕事をする
  • アパートを建てて賃貸として貸し出す

など収入が発生する用途として使うんじゃないかと怪しむわけです。

今回の件にしても、銀行サイドが直接現地を調査したからこそ、未登記物件の存在がばれてしまったのですね。

銀行にごまかして売買するのはやめたほうがよさそう。

 

未登記建物がある物件を売買するって?解決策は登記をするか解体するか

未登記建物がある物件を売買する?売主にちゃんと登記してもらえ

話は目下大問題の倉庫に戻ります。

地域の相場と比べても物件価格は2割ほど安いです。

なにしろここまでで

  • 差し押さえが入っている任意売却
  • 接道の私道の持ち分がない

と、厄介な問題を抱えていた上に倉庫の未登記ですから。

とは言え売主さん側としてはとにかく早く売りたいわけです。

いくらか出費が増えたとしても競売になるよりはいいはず。

売主負担で問題を解決する方法

まずこの問題を売主負担で解決する方法は以下の通りです。

  1. 売主が登記費用を払って登記する
  2. 売主が契約前に倉庫を解体する

我が家には倉庫は必要ありません。

いくら融資実行の条件とされても、こちらとしてはこんな大きな倉庫は手に余ってしまいます。

無駄に大きい収納力よりも日当たりが欲しいです。

数万円も払って登記する価値がありません。

というわけで、売主さん負担で倉庫を解体することを、契約の条件に加えてくれることになりました。

このほかの未登記物件のパターンは?

先程も書きましたが、意外と未登記物件って多いです。

ありがちな例を挙げてみます。

  • 増築した部分が未登記
  • 相続したけれど権利部が変更されていない
増築によって建物自体に未登記部分がある場合は注意が必要です。

建物に未登記が含まれる場合は必ず登記をしてもらう事

今回の我が家のように、倉庫や大きなガレージが未登記という場合には解体するという選択肢も含まれます。

けれど、購入したい建物本体に未登記部分が含まれている場合はそういうわけにいきません。

建物を使いたいのなら、登記をするしか解決策がありません。

  • 表題登記
  • 所有権保存登記

このふたつの登記を売主さんにしてもらってから契約しましょう。

無事契約終了

さて、ここまできてやっと契約にありつけることができました。

全6回の長編でしたが、ここまでご覧いただきありがとうございます。

このように、安い物件には落とし穴がたくさんあります。

ですが、ひとつひとつ地道にクリアしていけばとってもお得なお買い物になりえます。

ただそのためにはやっぱり、買主自身も勉強しなくてはいけないということがわかっていただけたかと思います。

営業マンにただただ流されて、いわれるがままに資料を提出して記名押印して契約終了。

こんな風だと、どこに落とし穴があるのか気が付かないかもしれません。

はたまた、落とし穴の存在すら気づかず、適当に砂を掛けられごまかされて取引を終了しているかもしれません。

というわけで、次回は競売物件や任意売却案件の物件を買うときに、買主が知っておくべきことについてを解説します。

 





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